朝、ファイルが開けない
月曜日の朝 8 時、コンビニチェーン本部の経理担当の方が PC を開きました。
共有フォルダの請求書が、どれも開けません。画面には「データを戻したければ連絡せよ」という文が出ています。
焦って電源を切りたくなります。ただ、その前にやるべきことがあります。最初の数分で何をするかを学びます。
このレッスンのゴール
メモ
セキュリティ事故のあとの最初の手順を説明できる。
キーワード
| ことば | いみ |
|---|---|
| インシデント | セキュリティに関わる事故や、その疑いです。 |
| 報告 | 決められた窓口にすぐ知らせることです。 |
| 封じ込め | 被害がほかへ広がらないようにすることです。 |
| 証拠 | 何が起きたかを後で調べるための記録です。 |
| ログ | システムが出来事を時刻つきで書いた記録です。 |
学生が入力するセルは、このプレビューでは空白です。
まず報告し、広がりを止める
インシデントに気づいたら、一人で直そうとせず、すぐに決められた窓口へ報告します。小さなことでも、疑いの段階で知らせます。
次に封じ込めです。LAN ケーブルを抜く、Wi-Fi を切るなどして、ネットワークから外します。
電源は切りません。メモリの中に、調べるための証拠が残っているからです。
よくある思い違い
注意
「自分のミスが原因なら、こっそり直したほうがよい」と考える方がいます。隠している間にも、被害はほかの PC へ広がります。早く報告するほど被害は小さくなるので、原因が自分でもすぐに知らせます。
証拠は残し、記録をつける
慌ててファイルを消したり、ソフトを入れ直したりすると、証拠が消えます。
画面に出た文は、スマートフォンで写真に撮ります。気づいた時刻、見たこと、したことを順にメモします。
このメモは、後で原因を調べるときや、取引先に説明するときに役立ちます。
例: 経理担当のメモ
| 時刻 | 見たこと・したこと |
|---|---|
| 8:02 | 請求書が開けない。身代金を求める文が出ている |
| 8:04 | 画面を写真に撮った |
| 8:05 | 情報システム部に電話で報告した |
| 8:07 | LAN ケーブルを抜いた。電源は入れたまま |
学生が入力するセルは、このプレビューでは空白です。
ログで何が起きたかを確かめる
システムは、ログインや操作をログに書き残しています。一行に一つの出来事と、その時刻があります。
ログを読むと、いつ、どこから、だれのアカウントで何が起きたかが分かります。
同じ場所からログイン失敗が続き、最後に成功していれば、パスワードを当てられた疑いがあります。
試す: grep でログを読む
mkdir -p incident && cd incident
printf '%s\n' \
'2026-10-20 02:58:11 ログイン成功 user=kimura ip=192.0.2.15' \
'2026-10-20 03:12:40 ログイン失敗 user=admin ip=203.0.113.7' \
'2026-10-20 03:12:41 ログイン失敗 user=admin ip=203.0.113.7' \
'2026-10-20 03:12:43 ログイン失敗 user=admin ip=203.0.113.7' \
'2026-10-20 03:12:46 ログイン成功 user=admin ip=203.0.113.7' \
'2026-10-20 08:30:02 ログイン成功 user=kimura ip=192.0.2.15' > access.log
# 失敗した行だけ
grep ログイン失敗 access.log
# 失敗した回数
grep -c ログイン失敗 access.log
# あやしい IP アドレスがしたことすべて
grep 203.0.113.7 access.log
# user=kimura の行だけを表示してみてください。