新人が生産計画を消してしまった
愛知の自動車部品メーカーで、入社 1 週間の方が生産管理システムを触っていました。
設定が面倒だったので、新人にも管理者の権限が渡されていました。ボタンを押し間違え、翌週の生産計画がまるごと消えてしまいました。
この方は、実績を入力できれば十分でした。権限をどう渡せばよかったのでしょうか。
このレッスンのゴール
メモ
一人ひとりに、仕事に必要な権限だけを渡すことができる。
キーワード
| ことば | いみ | れい |
|---|---|---|
| 権限 | システムの中で、してよいことの範囲です。 | |
| 最小権限の原則 | 仕事に必要な権限だけを渡す考え方です。 | |
| 役割 | 仕事ごとにまとめた権限のセットです。 | 閲覧者、作業者、管理者 |
| アカウント | システムを使うための、一人ひとりの入口です。 | |
| 棚卸し | 渡している権限を定期的に見直すことです。 |
学生が入力するセルは、このプレビューでは空白です。
必要な分だけ渡せば被害は小さい
最小権限の原則は、仕事に必要な権限だけを渡すという考え方です。
権限が少なければ、押し間違えても壊せるものは少なくなります。パスワードを盗まれた場合も、攻撃者にできることは限られます。
冒頭の新人に必要だったのは「見る」と「実績を入力」だけでした。
例: 仕事と必要な権限
| 担当 | 仕事 | 必要な権限 |
|---|---|---|
| ライン作業者 | 作った数を記録する | 見る、実績を入力 |
| 営業 | 納期を確かめる | 見る |
| 生産管理 | 計画を立てる | 見る、実績を入力、計画を変更 |
| 情報システム | 利用者を登録する | 利用者を追加 |
学生が入力するセルは、このプレビューでは空白です。
よくある思い違い
注意
「信頼できる人なら、全部の権限を渡してよい」と考える方がいます。しかし押し間違いは、信頼できる人にも起きます。パスワードが盗まれることもあります。人を信じるかどうかではなく、仕事に必要かどうかで決めます。
権限は役割にまとめて渡す
社員が 500 人いると、一人ずつ権限を設定するのは大変です。間違いも起きやすくなります。
そこで、仕事ごとに権限をまとめた役割を作ります。人には役割を一つ割り当てるだけです。
役割の中身を変えれば、その役割の全員に一度で反映されます。
試す: 役割で判定する
# 生産管理システムの役割と、できること
roles = {
"閲覧者": ["見る"],
"作業者": ["見る", "実績を入力"],
"管理者": ["見る", "実績を入力", "計画を変更", "利用者を追加"],
}
# だれがどの役割か
staff = {"伊藤": "作業者", "加藤": "閲覧者", "小林": "管理者"}
def allowed(name, action):
role = staff[name]
return action in roles[role]
print("伊藤さんは計画を変更できるか:", allowed("伊藤", "計画を変更"))
print("小林さんは計画を変更できるか:", allowed("小林", "計画を変更"))
# 加藤さんを "作業者" に変えて、実績を入力できるか確かめてください。
異動と退職のときに見直す
権限は、渡したあとも見直しが必要です。
部署を異動した人に、前の部署の権限が残っていることがよくあります。退職した人のアカウントが使えるままになっていることもあります。
月に一度など、決まった時期に棚卸しをします。使われていない権限とアカウントは止めます。
例: 10月の棚卸し
| アカウント | 状態 | 最後のログイン | 対応 |
|---|---|---|---|
| 伊藤 | 在籍 | 2026年10月19日 | そのまま |
| 中村 | 9月に営業へ異動 | 2026年10月15日 | 作業者から閲覧者へ |
| 山本 | 8月に退職 | 2026年7月31日 | アカウントを止める |
学生が入力するセルは、このプレビューでは空白です。