貼った瞬間に会社の外へ
福岡の会社で給与計算を担当する佐藤さんは、計算がずれる原因を探していました。
社員の表をそのままAIアシスタントに貼り、「どこがおかしいか」と聞きました。表には、氏名、マイナンバー、口座番号が入っていました。
答えは役に立ちました。しかし、社員300人分の個人情報が、会社の外のサービスに送られていました。
このレッスンのゴール
メモ
秘密と個人情報を、プロンプトに入れずに作業できる。
今日のキーワード
| ことば | いみ | れい |
|---|---|---|
| 個人情報 | 特定の人がわかる情報です。 | 氏名、住所、電話番号 |
| マイナンバー | 一人ひとりに付く12けたの番号です。とくに慎重に扱います。 | |
| 秘密情報 | 外に出ると困る、会社の情報です。 | パスワード、APIキー |
| ダミーデータ | 本物に似せて作った、架空のデータです。 | |
| マスキング | 情報の一部を記号で隠すことです。 | ********9018 |
学生が入力するセルは、このプレビューでは空白です。
貼ったものは会社の外に出る
プロンプトに貼った文章やコードは、多くの場合、AIを動かす会社のサーバーに送られます。保存されたり、人が見たりすることもあります。
一度送ったものは、取り消せません。だから、送る前に止めることが大切です。
会社によっては、使ってよいAIサービスと、貼ってよい情報の決まりがあります。まず、その決まりを確かめましょう。
これは貼ってよいか
| 情報 | 貼ってよいか | 代わりにすること |
|---|---|---|
| エラーメッセージ | よい | そのまま貼る |
| 社員の氏名とマイナンバー | だめ | ダミーデータに置き換える |
| データベースのパスワード | だめ | 「パスワード」という文字に置き換える |
| APIキー | だめ | キーの部分を消してから貼る |
| 列名とデータの形 | たいていよい | 値は架空のものにする |
学生が入力するセルは、このプレビューでは空白です。
貼る前に置き換える
本物のデータが必要に見えても、たいていはデータの形がわかれば十分です。
氏名は「社員A」のような名前に、電話番号は「000-0000-0000」のような使えない番号に置き換えます。これがダミーデータです。
全部を置き換えられないときは、マスキングで一部を隠します。
やってみよう: 1行を置き換える
# 社員の1行を、AIに貼る前にダミーデータへ置き換えます。
# ここにある値は、すべて架空のものです。
row = {
"name": "佐藤 花子",
"phone": "000-1111-2222",
"account": "A000001",
"salary": 285000,
}
safe = {
"name": "社員A",
"phone": "000-0000-0000",
"account": row["account"],
"salary": row["salary"],
}
print("AIに貼る行:", safe)
# 口座番号がそのままです。"*******" に置き換えて、もう一度実行しましょう。
キーを貼ってしまったら
APIキーやパスワードを貼ってしまったら、もう外に出たと考えます。会話を消しても、送ったことは取り消せません。
すぐに上司やセキュリティの担当者に知らせます。そして、そのキーを使えないようにして、新しいキーを作ります。
隠そうとすると、被害が広がります。早く知らせることが、一番の対策です。
よくある誤解
注意
多くの人は、会社が契約したAIなら、何を貼っても大丈夫だと考えます。契約で守られる範囲は、サービスごとにちがいます。決まりを確かめ、個人情報は置き換えてから貼りましょう。