「本庁のシステムにつながりません」
市役所の支所から、情報政策課に電話が入ります。「窓口のパソコンから、本庁の住民システムにつながりません」。
原因は、パソコン、支所のルーター、通信会社、DNS、本庁のサーバーのどれかです。
慣れた担当者は、当て推量をしません。近いところから順に確かめて、切れている場所を探します。
このレッスンのゴール
メモ
pingとtracertの出力を読んで、どこで通信が切れているかを見つけられる。
キーワード
| ことば | いみ | れい |
|---|---|---|
| ping | 相手が応答するかを調べる命令 | ping -n 4 203.0.113.40 |
| 応答時間 | 行って帰るまでにかかった時間 | 18ms |
| パケット損失 | 返ってこなかった通信の割合 | |
| ホップ | 通信が通る一つ一つのルーター | |
| tracert | 相手までのホップを順に調べる命令 | tracert -d 203.0.113.40 |
| タイムアウト | 決まった時間内に返事がないこと |
学生が入力するセルは、このプレビューでは空白です。
pingは応答と時間を見る
pingは、相手に小さな通信を送り、返事を待ちます。返事が来るたびに、応答時間をミリ秒で表示します。
最後に、送った数と返ってきた数をまとめます。一つも返らなければ、相手が止まっているか、途中で止められています。
ただし、pingに答えない設定のサーバーも多くあります。答えないことは、止まっている証拠にはなりません。
日本語版Windowsのpingの出力
C:\> ping -n 4 203.0.113.40
203.0.113.40 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
203.0.113.40 からの応答: バイト数 =32 時間 =18ms TTL=54
203.0.113.40 からの応答: バイト数 =32 時間 =17ms TTL=54
要求がタイムアウトしました。
203.0.113.40 からの応答: バイト数 =32 時間 =19ms TTL=54
203.0.113.40 の ping 統計:
パケット数: 送信 = 4、受信 = 3、損失 = 1 (25% の損失)、
例: パケット損失を計算する
| 送信 | 受信 | 損失 | 割合 | 現場での意味 |
|---|---|---|---|---|
| 4 | 4 | 0 | 0% | 問題なし |
| 4 | 3 | 1 | 25% | 不安定で、Web会議が途切れる |
| 10 | 5 | 5 | 50% | ほとんど使えない |
| 4 | 0 | 4 | 100% | 止まっているか、止められている |
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tracertは道のりを見る
通信は、相手まで何台ものルーターを通ります。一台一台がホップです。
tracertは、ホップを近い順に並べて、それぞれの応答時間を表示します。返事のないホップは、タイムアウトと表示されます。
あるホップから先がずっとタイムアウトなら、最後に答えたホップのすぐ先に問題があると考えます。
例: 途中で切れるtracert
| ホップ | アドレス | 応答時間 | 何か |
|---|---|---|---|
| 1 | 192.168.30.1 | 1ms | 支所のルーター |
| 2 | 10.80.0.1 | 6ms | 通信会社の入り口 |
| 3 | 198.51.100.65 | 12ms | 通信会社の中 |
| 4 | タイムアウト | 返事なし | ここで切れている |
| 5 | タイムアウト | 返事なし | その先も返事なし |
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やってみよう: 最後に答えたホップ
# 昨日保存した tracert の結果を、ファイルにしておきます
printf "1 192.168.30.1 1ms\n2 10.80.0.1 6ms\n3 198.51.100.65 12ms\n4 タイムアウト\n5 タイムアウト\n" > trace.txt
# 応答した行だけを残し、その最後の一行を出します
grep -v "タイムアウト" trace.txt | tail -n 1
# | tail -n 1 を消して実行し、応答した行を全部見ましょう
よくある思い違い
注意
途中に一つでもタイムアウトがあれば、そこが故障だと思う人が多いです。多くのルーターは、tracertには答えずに、通信だけを通します。その先のホップもすべてタイムアウトのときだけ、手がかりになります。
内から外へ順に確かめる
ここまでの道具を、決まった順番で使います。自分に近いところから、遠いところへ進みます。
最初につまずいた段階が、連絡する相手を教えてくれます。ゲートウェイで止まれば支所のネットワーク、DNSで止まればDNSの担当です。